兵庫県立大学「特別講義・座談会」レポート

一般社団法人会計事務所連携協議会(略称:会計連)は、2025年12月2日(火)、兵庫県立大学 神戸商科キャンパスにて開催された特別講義に登壇いたしました。

学生の皆様に大規模会計事務所での実務や業務の醍醐味を広く知っていただくことを目的とし、以下の5法人が講師を務めました。

  • OAG税理士法人
  • 辻・本郷税理士法人
  • トリプルグッド税理士法人
  • ベンチャーサポート税理士法人
  • ミカタ税理士法人

講義終了後には昼食を兼ねた座談会が実施され、会計業界での活躍が期待される若い世代と交流を深める有意義な機会となりました。

特別講義

本講義は、校内の教育棟において、国際商経学部の1・2年生約80名を対象に実施されました。

90分間の「租税法概論」の枠組みの中で、各法人が15分ずつセッションを担当し、登壇いたしました。
法人共通のテーマとして【未来のファイナンス:会計事務所がデザインする『価値創造』の新領域】を掲げ、それぞれの視点から語られました。

ベンチャーサポート税理士法人

はじめにベンチャーサポート税理士法人の五味孝文氏が登壇いたしました。

会計・税務の枠を超えて経営者の人生のパートナーを目指す「顧問型コンサルティング」の真髄が語られました。

日本の開業率が諸外国に比べ低い現状に触れ、挑戦が生まれ続ける社会作りを目的に「日本を、起業先進国へ。」というミッションを掲げていると説明されました。

起業家支援を目的として構成された独自のコンサルティングスタイルである「三階建てモデル」が紹介されました。
事業の成果を正確な「数字」として可視化する土台作りから、数字を分解して未来を変えるプロセスの設計、さらに経営者の人生を見据えた長期的なライフプランの策定まで、総合的に支援する強みが解説されました。

最後に「挑戦を支える人が社会を変える。数字を使って人の挑戦を支える。これが私たちの仕事です。」と述べ、挑戦を支える側に立つ仲間が生まれることを心から楽しみにしている、と学生にメッセージを送りました。

トリプルグッド税理士法人

トリプルグッド税理士法人の原川健氏は「IT活用戦略」を切り口に、AI時代における会計業界の新たな可能性を提示しました。

「AIの進化は決して仕事を奪うものではなく、人が真にやりたい仕事に集中できる環境をもたらしました。」と説明。
クラウド会計ソフトやITツールの活用によって単純作業を自動化し、顧客に価値のあるコンサルティング業務に特化することは、顧客の利益のみならず「社員自身の成長や働きがい」に直結すると述べられました。

当法人では、顧客へのIT導入から定着までをワンストップで支援するDXの推進に力を入れており、自社・顧客双方の生産性を高めることで時短勤務、リモート勤務といった効率的な働き方が可能になっていると語られました。

テクノロジーを味方につけることで、税理士はより創造的で幸福度の高い職業へと進化していくと、業界の未来を明るく展望しました。

ミカタ税理士法人

続いて登壇されたミカタ税理士法人の高瀬大祐氏は、「経営と、人生の、味方になる。」という理念を軸に、オーナー経営者に寄り添うコンサルティングの本質を語られました。

顧客の担当者を「経営者のかかりつけ医」に例え、会計・法律の専門知識を武器に、企業の意思決定に直接関与できる仕事の醍醐味を解説。
特に、会社と個人の資産をトータルで捉え、手元に残る財産を最大化させる「ビジネス&ライフコンサルティング」の重要性を説かれました。

当法人では、社内の専門チームが「オペ医」としてバックアップする体制を整えており、若手でも高度な支援を通じて能力を伸ばせる仕組みが紹介されました。

最後に、税理士は地域経済や国を支える貢献実感の大きい仕事であると語り、資格の有無以上に「人に関心を持ち、誰かの役に立ちたい」と願うマインドが活躍の鍵となることを伝えました。

辻・本郷 税理士法人

辻・本郷 税理士法人からは、人事本部の安場裕太氏、コンサルティング事業部の小田原昂輝氏、そして本学卒業生である相続部の大川絵里花氏の3名が登壇し、組織力を活かしたキャリア形成と専門性の磨き方について語られました。

当法人では法人業務・相続業務を強みとしており、グループの総合力と膨大な案件数を背景に、社員が挑戦できる体制が示されました。

事業承継においては、特定の商材の販売を目的としないからこそ、顧客の想いに寄り添った中立的で柔軟な提案ができる「真のパートナー」としての税理士の優位性を示されました。

AI化が進む今、人が介在する価値はより高まっており、税理士は専門知識という「個の力」を武器に将来にわたり活躍できる職業であると述べました。

最後に「組織の規模に関わらず、最後は一人一人の力が重要。自分をどう育て、何を成し遂げたいかという明確な指標を持ってほしい」と、学生にエールを送りました。

OAG税理士法人

最後に登壇されたOAG税理士法人の平田実氏は、会計事務所の業界の構造変化と、組織で働くことの真の価値について語りました。

税理士の高齢化や事務所のM&Aが加速する現状を解説し、法人の大型化は「若手にとって多くのチャンスが回ってくる好機である」と解説。

同法人では、国税出身者らが在籍し、難解な実務判断をサポートする「審議室」を備えており、若手でも安心して高度な業務に打ち込める環境が用意されていると述べました。

また、適材適所の考え方を大切にしており、課題発掘が得意な人材だけでなく、専門領域を深く追求する職人気質のメンバーも組織で輝ける魅力を提示。

最後に、中小企業のDX支援など未来の展望に触れ、「税理士という武器に、語学やITなどもう一つ強みを掛け合わせ、唯一無二のキャリアを築いてほしい」と学生たちへ助言を送り、講義を締めくくりました。

座談会

講義終了後、校内の研究棟にて2教室に分かれて座談会が開催されました。

本会には希望学生および各税理士法人の担当者それぞれ10数名が参加し、全体で計30名規模での開催となりました。

各法人と学生が自由席で着席し、昼食をとりながら活発な意見交換が行われました。

学生の皆様からは、将来を見据えた観点から、以下のような質問が寄せられました。

※主な内容を要約してご紹介いたします。

  1. 実務未経験者の受け入れ体制と育成環境
  2. 実務に携わる上での心構えや、求められる素養について
  3. 各税理士法人の組織文化や独自の特色について

座談会では、参加者一人ひとりの関心に沿った形で対話が行われました。席を移動しながら質問を重ねる学生の姿も見受けられ、盛況のうちに終了いたしました。

本企画終了後の参加学生の声

以下のような感想が寄せられました。

  1. 本講義を通じて、税理士法人や会計事務所に対するイメージが大きく変わりました。従来持っていた「帳簿作成と税務申告の代行」というイメージから、企業の成長戦略を支える「経営パートナー」としての役割へシフトしている現状を強く認識できました。
  2. どの会社にも当てはまるやりがいのひとつの、経営者(意思決定者)と話ができることの内、経営者個人と会社全体をサポートできる仕事であることが主なやりがいであるのかなと感じました。普通の会社であれば、経営者から受けた指示をこなしていくと思いますが、そのトップと話ができ、専門的な知識からアドバイスができる立場の重要性と貴重性が良いと思いました。毎日勉強をしながら働くイメージがあり、難しく考えることも多いですが、楽しそうにお話されている講師の方々をみて、税理士事務所で働いてみたいと思うことができました。
  3. 今回会計事務所さんのお話しだったので、税務に関するお話しがメインなのかなと思っていましたが、私が1番最近興味のあるコンサルティングについてのお話しが多く、非常におもしろかったです。
  4. 今回の講義では、会社の紹介もありつつ、会計事務所、税理士の魅力についてよく知ることが出来た。いくつかの事務所で話題に出たAIについて、AIがあることでコンサルティングなど人間がより集中したい仕事に絞って出来るという利点が知れた。難しそうというイメージもあるが、各会社の社長など普通なら会えない方たちと会って密接に関われる貴重な仕事であるため、経験を積めるやりがいのある仕事だと聞いてて感じた。
  5. 異なる特徴を持つ税理士法人・グループのお話を伺うことができ、税理士業界の多様性を強く感じた。どの法人も共通して記帳代行などの作業代行から「付加価値の高いコンサルティング」へと軸足を移している点が印象的で合った。AIに取って代わるような職業なのではないかという自分自身のイメージを取り払うことができた。また、それぞれの強みが明確で、税理士という職業の奥深さと将来性を再認識する貴重な機会となった。
  6. 本日の講義の中で、デメリットのあることや無駄なことはしていないという合理的な姿勢と、その根底にある人を好きになるという人間味あふれるマインドの双方に強く魅力を感じました。 IT活用によって業務の無駄を極限まで省くことは、単なる効率化ではなく、その分だけ人と向き合う時間を生み出すための戦略なのだと理解できました。そのため、AIは仕事を奪う脅威ではなく、より人との繋がりを大切にするための不可欠なツールなのだと気づかされました。冷徹なまでの合理性と、経営者に寄り添う温かい人間力の両輪があってこそ、真のパートナーになれるのだと学び、この職業への関心が深まりました。

今後の展望

今回の特別講義および座談会は、学生の皆様に会計業界への理解を深めていただくとともに、将来のキャリアの一つの選択肢としてその魅力を直接お届けする貴重な場となりました。
本取り組みは会計連のさらなる発展につながる、意義深いものとなりました。

今後も会計連は、教育機関との連携を継続し、次代を担う人材の育成および業界の発展に資する情報発信に取り組んでまいります。